夜来の月

これまで巡った寺社や史跡のこと、好きな本や漫画のこと、時々大相撲

雨瀬シオリ「ここは今から倫理です。(1)」

主人公である倫理の教師・高柳が、様々な問題を抱えた生徒達と向き合う物語です。

よくある学園もののように、単純に教師が問題児を教え導いてスパッと解決するのではなく、倫理の知識を通して真摯に生徒達と向き合い、問題提起をし、対話を通してともに考えを深めあったりしていくのがこの作品の見どころ。

作中では明確な答えは示されず、それでも生徒達は高柳と交わした会話から一縷の希望を見いだしていきます。

一見するとクールで知的、滅多なことでは感情が動かない鉄面皮のように見える高柳が、実は結構熱いものをうちに秘めていたり、お茶目だったり不器用だったり、彼もまた不完全な人間であることが物語に奥行きを持たせていて、時折見せるはにかんだ笑顔に一気に心を持って行かれること請け合い。

タイトルから受けるほど難解な内容ではなく、むしろ私のようなド素人にも何とか理解できるかな? と思えるほど倫理をわかりやすく紐解いてあり、とても読みやすいです。

話が進むにつれて先へ進むのかと思いきや、それぞれの話がリンクしあって多重構造になっていて少し驚かされました。

執筆動機が書かれた後書き含めてオススメです。

ただし所々に出てくる性的な描写にはちょこっと注意が必要かも。